最高裁判所第三小法廷 昭和43年(オ)1147号 判決 1969年6月17日
上告人
山口邦男
代理人
大橋光雄
桐生浪男
辻畑泰輔
被上告人
日本レール鋼材株式会社
代理人
中村蓋世
補助参加人
株式会社第一相互銀行
代理人
平田政蔵
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人大橋光雄の上告理由第一点ないし第三点について。
被上告人所有の甲乙両地について東京都の都市計画区画整理事業による換地処分が行なわれ、昭和三九年六月一一日大田区大森本町一丁目六番三宅地五八六坪八合九勺が換地に指定されて、被上告人に通知があり、ついで同年八月三一日その旨の公告がされたこと、および本件係争地が右五八六坪八合九勺の土地の一部であることは、原審が適法に確定した事実であり、この事実によれば、本件換地処分の効果として、本件換地は公告の日の翌日から甲乙両地とみなされ、甲乙両地の所有者である被上告人が換地の所有者になるので、右換地内にある係争地が被上告人の所有に属する旨、および上告人の主張する換地処分の瑕疵が右処分の当然無効を招来する程度に明白なものではないところ、右瑕疵のため換地処分がまだ取り消されていないから、かりに係争地が換地処分以前上告人の所有であつたとしても、右換地処分の公告のあつた後は、係争地に上告人の所有権を認める余地がない旨の原判決の判断は首肯できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(関根小郷 田中二郎 下村三郎 松本正雄 飯村義美)